●全国各地にある豊かな自然、貴重な建造物や遺跡。それらを自分たちの手で守り伝えていくナショナル・トラスト活動。
協会を訪問してくれる中学校からの連絡をうけると、真っ先に地図を見ながらどのような学校かな?
学校を取り巻く環境はどんなかな?
そこで生活する生徒の自然に対する関心度は?
ナショトラおじさんはそんなことを考えながらワクワクして当日を迎えます。
●訪問を受けて(ナショトラおじさんの報告)
平成16年度のトップを切って訪問してくれたのは岩手県の石鳥谷中学校のホヤホヤの三年生。気持の良い挨拶でスタートした。
自己紹介を兼ねて協会訪問の動機をきくと、「環境問題に興味があって」「自然のことを知りたくて」「自然に囲まれているせいか、自然問題がピンとこない」など頼もしい言葉が返ってきた。早速前もって送られていた質問事項に沿って話しを進めることにした。
何しろ18項目の質問に短時間で答えるなんてとても無理。重要な項目に絞って説明する。
学校のすぐ近くが北上川、西に奥羽山脈、東に北上山地に挟まれた北上盆地の一角。さすが自然豊かな所に育っているせいか、森林に関する質問が多い。温暖化に関連しての「森林の世界的減少が深刻」さを強調する。1年に何度という上昇ではないが、例え0.1度上昇でも深刻な問題だ。でも温暖化は確実に進んでいる。では「それを防ぐには?」温暖化問題だけでなく人間の生活と自然環境について意見を出してもらった。「便利で快適な生活だけを求めない。」「これ以上の環境破壊をしない」「ものを大事にし、ぜいたくをしない」など頼もしい意見が聞かれる。
「トラスト協会の役割や仕事」については「訪問の手引き」の前半部分をゆっくり見てもらうことにし、「富士山トラスト」と「柿田川みどりのトラスト」の豪華なパンフレットを見ながら話す。富士山のトラスト活動が数年後に達成できるような簡単なものではなく、50年先、100年先、もっと先のことを考えた緑豊かな富士山を目指す活動であること、
トラスト活動で昔のようなきれいな川になった柿田川。観光客が声を揃えて「ウワーきれいな川」と歓声を上げる。
「喜んでもらえるのは嬉しいが、どぶ川がこんなにきれいになるまで10年かかったことを知って欲しい。皆さんの住んでいる所だって、力を合わせれば見違えるようになる場所がきっとある。大事なことは環境を自分たちで守ろうとする気持だ」と話されたことを伝えた。一同じっと聞き入っていた。
ボランティアとは何? トラスト活動とは? どちらも根っこは同じ「人や社会のために自分から奉仕すること」だ。
手引きの後半部分を見ながら話す。どちらも旨く最後までやりぬくための最低の条件は、
(1)意志が強い
(2)礼儀正しい
(3)人やものを大切にする
(4)相手に自分の考えをはっきり伝える
(5)環境や自然に関心を持っている
そんな人間なら誰でもボランティアが出来るし、将来トラスト活動もやり遂げられる。少々説教臭くなったが、解ってもらえたようだ。
何時の間にか約束の時間になった。「単なる岸辺のゴミ拾い作業でなく、北上川をきれいにするゴミ拾いのボランティアを心がけてくれるだろう」そんな希望をもたせてくれたさわやか中学生だった。 |