全国各地にある豊かな自然、貴重な建造物や遺跡、それらを自分達の手で守り伝えていくナショナル・トラスト活動。協会を訪問したいとの中学校からの連絡を受けると、真っ先に地図で所在地を探しながら、
「どんな学校かな」「学校を取り巻く環境は?」「そこに生活する生徒の自然に対する関心度は?」
ナショトラおじさんはそんなことをながら、ワクワクして当日を迎えます。
訪問を受けて(ナショトラおじさんの報告)
4月も半ばを過ぎると、ホヤホヤの三年生もらしくなるものだ。礼儀と落ち着いた態にうかがわれる。引越し前の殺風景な事務所の一遇での話し合い。「学習環境が悪すぎる」との心配は杞憂に終わった。訪問の動機は、身近なゴミ問題の学習と体験を通して、環境問題へ、そしてナショナル・トラスト活動へと興味が広がっていったそうだ。
社団法人日本ナショナルトラスト協会発行のガイドブックを見ながら、北は北海道から南は沖縄まで、森林・川・山・里山・海岸などの自然環境や建造物・文化財の保護に活躍する団体があり、それらとネットワークを結んで、その活動を援助していくのが協会だと説明する。トラスト活動の場所はないが、電話・ファックス・パソコンをフルに使って、全国に散らばる団体と連絡をとりながら、活動しやすい条件整備に努力しているという説明で、全員納得してくれた。
川西町は山形県の南部、米沢市から北へおよそ10kmにあり、名前のとおり、最上川(上流では松川)の西にある町。自然豊かなこの町も、川の汚染や道路拡張(田畑の減少)など、気になる現象が起こっている。自分たちの目で見る限り深刻な環境汚染はない。「とにかく協会で話しを」となったらしい。自然の豊かな所っていいな。
ナショナル・トラスト運動発祥の地はイギリス。わずか3人で始めた運動が今では国家が予算を取って応援するまでになっている。なんとも羨ましい話。世界的にみても、イギリスと関係の深い国、カナダ・オーストラリア・ニュージ-ランド・マレーシアなどがさかんだ。アジアでは韓国と台湾が日本のナショナル・トラストを手本にして始まったようだ。日本からの希望者をイギリスのトラスト地へ送り、本場の活動を学んでもらったり、外国に呼びかけて、日本のトラスト活動を経験してもらったり という仕事も協会の仕事としている。
ゴミ捨て場のような汚い川が、地元の人々の協力と応援で見違えるようにきれいになって今では観光スポットになっているという「柿田川トラスト」。「50年か100年、いや 200年かかって実現できるかどうか」先の見えない仕事だが、「我々が道をつけたら後を継いでくれる。つけなかったら誰も継いでくれない」緑豊かな富士山を目指して頑張っている「富士山トラスト」。聞いている顔は真剣そのもの。
ボランティアで大切なことは
- 自分から取り組むもので、人からやらされるものではない。
- 人に喜ばれ自分もやってよかったと満足できる。
- 決して見返り(お礼の言葉・手間賃)を期待しない。
年齢や経験は一切関係ない。ナショナル・トラスト活動をしている人は全部がボランティアなんだ。生活のための仕事以外の時間(土・日・休日と平日の夜)がナショナル・トラスト活動に使える時間なのだ。どんなに辛いかわかるよね。それくらい強い精神力がなければやり通せないと思う。
学校の仕事、家での仕事は自分から目的をもってやれたら、それは立派なボランティアだ。そのうえで、挨拶が出来、自分の意見がきちんと伝えられ、相手の立場で考えられ、環境に関心をもち続けられたら、言うのことないナショトラ人だ。「君たちもそんな素敵な人間に育ってほしいな。」
平成16年4月23日に事務所の引越しを完了したので、旧い事務所最後の訪問者になった皆さん。 事務局の皆さんもナショトラおじさんも池袋の新しい事務所で頑張っているよ。質問があればいつでもOK。ではお元気で。 |